「料理」と「食材」には、たくさんの組み合わせがある。
たとえば、「カレー」一つとっても、「野菜」「肉」「スパイス」など何を選ぶか、そして、どうやって組み合わせるかで、いくらでも食べ方と味わい方が変わっていくもの。その食材も「どこで採れたものなのか」というところまで気が行くようになると、その料理に個性を感じやすくなる。
沖縄でも、料理と食材の組み合わせで、ユニークなお店づくりをしている場所がある。それが「琉球じゃじゃ麺屋モガメン」だ。こちらのお店では、名前の通りではあるが、盛岡発祥の「じゃじゃ麺」と、沖縄食材を組み合わせた麺を堪能できる。
食べ方は自由自在、3度うまい、琉球じゃじゃ麺
ゆいレール安里駅から徒歩1分ほどのビル5Fにモガメンはある。カウンター席に、テーブル席、ゆったりと過ごしんながら、琉球じゃじゃ麺とお酒を楽しめる空間となっている。
人気メニューは「琉球じゃじゃ麺Z」だ。琉球じゃじゃ麺の肉味噌は、県産豚の挽き肉に数種類の野菜、多良間島産の黒糖や久米島産の味噌などを調合してつくっている。決め手には、黒ゴマが。モチモチ感のある麺は、沖縄そばとラーメンの中間の太さを狙った特注の麺を使用しているとのこと。
さやえんどう、人参、パプリカ、ハンダマ、もやしのナムル、そして、海苔。スプーンにはチーズと生ハムとおっとと。触感を変えるために、さやえんどうなどのお菓子をトッピングに使った、じつに遊び心に溢れた一杯だ。
これをまぜ込みながらズルズルと食べていくのだが、モガメンの琉球じゃじゃ麺は、3度おいしい。まずはそのままで、素材そのものの味はもちろん、麺の柔らかさとお菓子のサクッとした触感とのバランスを楽しめる。次に、酢、にんにく、しょうが、白ごまなどの調味料を加えてパクリと味わってみる。そして、最後は、ご飯かスープ(あるいは両方)を加えて、締めとしての楽しみ方。
食後には、シークヮーサーのジュレ(ゼリー)がちょんと出されるので、爽快感あり。オリジナル肉味噌や麺、そして、遊び心ある組み合わせで、味の土台はしっかりさせつつも、お客さんが自分好みに味を調整して、3度楽しめるのが琉球じゃじゃ麺なのだ。
旅するようにお店をつくり、モガメンを進化させてきたモガミさん
そんな琉球じゃじゃ麺を考案したのは、オーナーの茂上さん。察しの通り、「モガメン」の由来は、「茂上(モガミ)の麺(メン)」から来ている。つまり、「琉球じゃじゃ麺=モガメン」なのだ。
沖縄出身の茂上さんは、沖縄の大学を卒業後、サラリーマンに。その後、東京の有名ラーメン屋で修行を積み、沖縄へとUターンした。戻ってきたからは、カフェの立ち上げなどに関わっていたが、沖縄でまだ手が付けられていない「まぜ麺」に目を付け、はじめたのが、琉球じゃじゃ麺だった。
茂上さんのお店は、少しずつかたちを変えてきた。
最初は、北谷町で夜のみの、屋台式のラーメン屋としてスタート。その後、浦添市にある鶏の丸焼き「ブエノチキン」前に場所を移して、屋台営業をしていたそう。それから、那覇市久茂地へと移り、屋内営業と切り替わる。とはいえ、友人のバーを昼間だけ間借りしていたため、課題も多く、工夫を凝らさねばいけないことも多かったとか。
次に、ゆいレール美栄橋駅すぐの店舗へ。ここで、ついに自分だけの場を持っての営業となる。そのお店での経験と、関係性を引き連れて、現在の安里にある店舗に移転してきた。それは、まるで旅をするかのよう。
各地を回りながら、店舗に合わせて、モガメンは磨かれてきたのだろう。栄町という活気ある飲み屋街のそばで、新たな挑戦がはじまっている。茂上さんは、次のように話す。
「モガメンをもっと磨いて、モガメンを、沖縄そばのように「沖縄の食」として県に持ち出したいんですよね」
こっちのローカルと、あっちのローカルの「マリアージュ」
モガメンは、「盛岡じゃじゃ麺」をモチーフに、食材として「豚肉」「味噌」「黒糖」などを使用して、ユニークな食の体験を生んでいる。組み合わせを変えてみる。そのちょっと発想が、ニュースタイルをつくっていくのだろう。
どうせなら、自分のローカルの料理/食材と、他のローカルの食材/料理を組み合わせてみる。何万何千という無数のパターンがあり、可能性を感じられて興味深く、自分のところにある食文化を通じて、他の地域の食文化と交流できるというのは、やっぱりうれしい。
さまざまなローカルが出会い、たがいに高め合いながらも調和し、マリアージュしていく。「食」を通じて文化を深めることができるし、ここで料理のクリエイティビティは大きく発揮されるはずだ
さてさて、沖縄の料理や食材をもとに、これからどんな広がりがあるのだろうか。
琉球じゃじゃ麺屋 モガメン
沖縄県那覇市安里(字)388−52 5F 田原ビル
090‐2416‐1008
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