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孤高の革職人。沖縄を愛しマブイを込めて作る革小物はでーじ上等。



職の人 vol.4

SunkingLeathercraft 笠木暢之さん

 

元メカニックが、沖縄で見つけたモノづくりの楽しさ

一針一針すべて手縫いで縫い上げていく。マブイ(魂)を込めて。

「小さい頃から人見知りで、大人しい子だったと思います。家で壊れた時計を分解したり、ファミコンをやったり」

そう話すのは、那覇の自宅兼工房でオリジナルの革小物を作る「SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)」の革職人、笠木暢之さん。

大分県大分市に産まれ、専門学校を卒業し福岡県の中古車屋でメカニックとして働く。同じ職場で知り合った現在の奥さんと結婚したのが29歳の時。

「結婚してからしばらくはメカニックとして働いていましたが、人間関係がうまくいかず、職を転々としました。その時に妻から、人に雇われず自分でできる仕事を探してみたら?と言われたんです。でもそんなに簡単に見つかるものではないですよね」と、彼は笑う。

結婚した頃から趣味で始めたレザークラフト。奥さんにお願いされ名刺入れを作る事に。

「今考えればとっても下手くそな仕上がりでした。が、その名刺入れを妻に見せた時、妻がとても喜び褒めてくれて。その名刺入れを妻の会社の同僚や友達に見せびらかすわけです。うちの旦那さんが作ってくれたんだーととても嬉しそうに。もしその時に妻からダメ出しをされていたら、革職人にはなっていなかったかもしれません」

そこから本格的にレザークラフトを始める事になる。だがここでも「人嫌い」が邪魔をし、革の学校や教室に通わず独学で勉強するしかなかった。

「そこからは必至でレザークラフトを学び研究しました。作っては失敗。また作っては失敗を繰り返しましたね。でも不思議な事に辞めようと思った事は一度もありません。もうサラリーマンには戻りたくない、後戻りできないという強い思いがあったので。それにいつも商品を作るとそれが納得いかない商品だったとしても、まず妻が褒めてくれる。それが自信となり、また続けようと思う。妻は褒め上手なんです」

ナイーブで繊細な笠木さんの性格を、奥さんはすべて理解してくれているという。

だがそんな彼がなぜ沖縄への移住を決心したのか?

 

知り合う前から沖縄好きだった奥さんの夢を叶えるべく、沖縄移住を決意

どの作品も思い入れが詰まった作品だ。

「妻と付き合っている頃に妻が好きな沖縄へ二人で旅行にきました。僕にとっては初めての沖縄でしたが、正直その時の僕はまったく沖縄には興味はなかったんです」

が、そこから彼は頻繁に沖縄に通う事になる。奥さんの沖縄好きは尋常ではなかったようだ。

「年に数回、沖縄に旅行に来ていました。最初は年に2回。翌年は年に4回。沖縄に足を運ぶごとに僕も沖縄が好きになって。沖縄の伝統工芸でもある紅型(びんがた)やミンサー織に興味を持ったのもその頃からです。最終的には年に10回も沖縄に通った年があり、その時に夫婦で『もう移住しちゃおうか?』という決断に至りました」

移住を決めてからまずはネットで家探しをするも、間取り図を見ただけでは決められず、なかなか手間取ったという。そんな中、沖縄を訪れた時に夫婦にはある出会いがあった。

「あれは確かある年の大晦日でした。年越しを沖縄でしようと夫婦で旅行に来て、ある居酒屋に行ったんです。カウンターで飲んでいた時、たまたま隣の席に年配の男性二人が座っていて、意気投合しちゃって」

そこで夫婦はウチナンチュの年配男性二人と知り合い、次の日の元旦にも、そのウチナンチュの男性と一緒に飲む事になる。

「何度も沖縄には通っていましたが、初めて沖縄の方と親しくなり、しかもその方がとてもいい方で。そこからは観光客が行かない地元のお店に連れて行ってもらったり、彼のお友達もたくさん紹介してもらったり、沖縄でどんどん知り合いが増えていきました」

そんな中、そのウチナンチュの彼に沖縄への移住を考えていると伝えると、意外にも厳しい答えが返ってきたという。

「沖縄に移住する人はたくさんいる。だけど沖縄を嫌いになって帰って行く人もたくさん知ってるさー。笠木夫婦には沖縄を嫌いになって欲しくないから、移住はよーく考えた方がいいね。沖縄には2年の壁というのがあってさ。2年住むと沖縄の風習や沖縄のいいところも悪いところも全部見えてくる。そこでそのまま住めれば本物。でも本土へ帰る人も多いわけ。二人は大丈夫かねー?」と言われる。

それでもやはり移住する気持ちは変わらず、家探しを続けるもいいところは見つからない。そんな時、声をかけてくれたのも前出のウチナンチュの彼だった。

「本当に移住する気に迷いがないなら、うちの兄貴が住んでた家が空いてるからそこに住むね?」

そうして彼らは沖縄に移住する。そして2年の壁はとっくに過ぎ、7年経った今でも沖縄が大好きだという。

「ある日、たまたま隣に居合わせた方が、今ではボク達の大家さんです」

出会いは大切。この出会いがなければ移住に至らなかったかもしれない。人生は不思議。

 

こだわりの革づくりと苦悩、そして喜び

2011年に夫婦で沖縄に移住。SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)を立ち上げる。しかしまだこの時点では、商売とは呼べなかった。

八重山ミンサー織をインレイしたロングウォレット。ミンサー織の五つと四つの紋様には「いつの世までも一緒に」という意味がある。

「妻を代表にして、SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)を立ち上げましたが、最初は全然売れなくて。知り合いから『こういう革小物を作って欲しい』というフルオーダーを受けるも、それを思うようにカタチにできず、かなり苦労しました。でもその時の苦労があったからこそ、今の僕があるんだと思います」

その頃の事を思い出しながら、懐かしそうに苦笑いをする笠木さん。笠木さんが必死に腕を磨いている間、奥さんはSNSで徐々にSunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)を広めていく。

「妻はボクと正反対の性格で、行動的。ポジティブ。たまに暴走する時もありますが、それもみんなSunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)のため。ボクの作った商品をコツコツとブログやSNSにUPし、徐々に注文が入るようになりました。でもレザークラフトだけで生活していくには及ばず、僕はレザークラフトをしながら深夜のバイトをし、生活費を稼ぎ、そんな生活をつい最近まで続けていました」

「バイトを辞めた事で、ようやく覚悟を決めたというか。きっともっと早く辞められたかもしれませんが、その勇気がなかなか持てなくて」

覚悟を決めるというのはそう簡単な事ではない。きっと笠木さんなりに考え抜いて決めたことだろう。

「有難いことに数年前から、実店舗もない、SNSとネットショップしかない、会った事のない僕の商品を気に入って注文して頂けるお客様が増えてきました。継続は力なり。妻に感謝です。最近ではリピーターのお客様も増え、例えば大切な方へのプレゼントに、僕の作った商品を選んで頂けるお客様もいらっしゃって。そういうお客様との繋がりに僕は生かされていると思っています。少し哲学的にはなりますが、人間関係が苦手な僕ですから、若い時は自分一人で生きていると思っていました。でも今は人間は繋がって与え与えられ生きているんだと感じます」

SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)の商品はすべて手縫い。ミシンを使わず一針一針丁寧に作っていく。妥協を許さない笠木さんのマブイ(魂)が込められている。

SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)のオリジナル紅型をインレイした、ロングウォレット。手縫いとは思えないほど美しい縫い目だ。

「会社に属さず自分で道を切り開いていく事はとても困難です。体調やスケジュールも自身で管理しなければならないし、サボろうと思えばいくらでもサボれるんですから。長時間、椅子に座っての作業なので、腰は痛くなるし万年肩こりに悩まされています」

肩を触りながらニコニコと笑いながらそう語る。

「でも商品を手にしたお客様からの喜びの声だとか、沖縄にご旅行に来たお客様が、エイジングした商品を見せに来てくださると、とにかく嬉しくて。よーしもっと頑張るぞ!と思います。単純ですが、その単純な喜びが一番のやる気に繋がるのかな」

 

そのやさしさは、沖縄だからなのか

首里織をインレイしたドロップ型キーケース。どの作品にも温かみが感じられる。

SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)の商品には、本革と沖縄の伝統工芸である紅型(びんがた)やミンサー織とのコラボ商品が多数ある。ロングウォレット(長財布)・ハーフウォレット(二つ折財布)・コインパース・キーケース・パスケース・キーホルダーなど。どれも温かみを感じる。沖縄好きにはたまらない商品だろう。

「今後、レザークラフトの上達はもちろんですが、僕の作った革小物が、僕の作ったモノだとすぐにわかってもらえる事、つまりは個性のある商品作りを目指しています。近い将来、会社に属さず、個人で仕事をされる方が増えると思います。実際、僕もそのうちの一人ではありますが、最近では、ハンドメイドを生業にしている人がとても増えています。僕はレザークラフトにこだわらず、作家さんとアトリエのような場所を作り、その場所で個性的な作品を生み出せればいいなと妄想しています」

キラキラと目を輝かせながら今後を語る彼を見ていると、その妄想はきっと数年後には実現しているだろうなと感じさせられる自信が垣間見えた。

大切な工具たち。彼の宝物でもある。

そして彼は続ける。

「将来の夢は、妻の夢でもあり僕の夢である、沖縄を拠点にしつつ海外を周り世界を見たいです。世界には僕らの知らない素晴らしい事がたくさんあります。芸術であったり風景であったり、人であったり食べ物であったり。それらに触れて感じて影響を受けたい」

彼の作る作品を見せてもらった時、一番に感じたのは『やさしさ』だった。丁寧な縫い目にもデザインにも沖縄を愛する彼のやさしさと温かみを感じる。一気にSunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)の商品に惚れてしまったようだ。

最後に沖縄に移住して感じた事を聞いてみた。

『沖縄に移住して感じた事は、沖縄の時の流れがゆったりとしていること。それはいい事でもあり、悪いところでもある。最初の頃はそのゆったりとした流れに戸惑い、イライラしたこともありましたが、そのゆったりとした時の流れが、沖縄のやさしさに繋がっているんだなと。郷に入れば郷に従え。今では居心地がよすぎちゃって』

すっかりウチナンチュだ。SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)の商品は、ネットショップで購入可能。メイドインオキナワ+オンリーワンな商品をあなたも。

 

SunkingLeathercraft(サンキングレザークラフト)

050‐3470‐0854

 

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沖縄大好きケコ
★沖縄大好きケコ★
「てぃーだかんかんブログ おきなわラブな人たちのためのブログ」やインスタグラムなどで、沖縄大好きを発信中! 2016年、泡盛マイスターの資格を取り、国際通り屋台村 「島酒と肴(しまぁとあて)」でその実力を発揮、FM那覇にて居酒屋風ラヂオ「イザラジ」のパーソナリティを務める。Sunking Leather Craft代表。福岡県出身。

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