やちむんとは、沖縄の方言で焼き物のこと。長年の伝統が受け継がれている民芸品で、日常的に利用できる食器は沖縄旅行のお土産としても人気が高い。
読谷村の「やちむんの里」にある「登り窯」は観光名所として有名だが、元々は壺屋やちむん通りにあった。一時期は廃藩置県などを経て、琉球王国が沖縄県になると、県外から多くの安価な焼き物が流入し、壺屋焼は衰退してしまう。
しかし、大正15年頃からはじまった民藝運動が再生のきっかけとなり、沖縄県民のみならず、その素晴らしさは全国に広がる。
だが1970年代に入り焼き物の製作時に発生する煙による公害が問題となり、那覇市では薪をたく登り窯の使用を禁止。そこで文化村構想を進めていた読谷村が手をあげ、陶工たちに元米軍用地を提供し、登り窯を作る事となった。
今も残る、壺屋やちむん通りの登り窯
壺屋やちむん通りに入ってしばらく歩くと、有名なカフェ「南窯(ふぇーぬがま)」がある。「南窯(ふぇーぬがま)」は、沖縄に現存する唯一の荒焼(あらやち)窯として沖縄県の文化財にも指定されている。
この「南窯(ふぇーぬがま)」の裏手にあるのが、登り窯。読谷のやちむんの里のものと比べると小さく感じるが、実際に見ると思いのほか大きい。
平成8年頃まで窯に火が入っており、酒甕・獅子・花器などが荒焼(あらやち)として焼かれていた。ちなみに荒焼(あらやち)とは、色づけせず火の具合で焼しめる焼物のことで、素朴な色合いと温かな手触りが特色。
これはやちむんの沖縄の骨壷。昔の沖縄は風葬・土葬が主流。洗骨して骨壷に収めていたため、大きな骨壷が必要だった。今では火葬後のお骨を収めるようになったため、大きな骨壷の需要は少なくなったという。ちなみに沖縄の方言で「みーとぅんだーカーミぬちびてぃち」という諺(ことわざ)があり、「夫婦になったらあの世まで添い遂げなさい」という意味。なので夫婦二人用の骨壺が売っている。
隠れシーサーを探せ。あとマンホールもね。
壺屋やちむん通りを歩いていると、色んなところに遊び心が散りばめられている。隠れシーサーもその一つだ。
隠れシーサーを探しながら歩いていると思いのほか楽しく、時間を忘れ夢中になる。そんな散歩中、またもや沖縄らしいマンホールにも出会えた。
しばらく歩くととても可愛い「ヤッチとムーン」というお店にたどり着く。このお店はかなりおススメ。いい意味でのゆるさがある。
「ヤッチとムーン」は伝統的なやちむん2割、ポップテイストのやちむん8割。そのどれもが可愛くて、どの商品も魅力的で欲しくなるものばかり。
ふと見るとお皿のそばに「あなただけのプライベートビーチ」と書かれたプレートがあった。ハートを鷲掴みされた気分だ。
あなただけのオンリーワンやちむんを探して
壺屋やちむん通りを散歩すると、やちむんとの出逢いがある。「これは買わなきゃ」と思うような出会が。人もモノも出会いが大切。きっとあなたのオンリーワンやちむんに出会えるはずです。
壺屋やちむん通り
沖縄県那覇市壺屋1-21-14